SOAP自動入力の始め方(AIカルテ入門)|診察中の会話からSOAPを下書きする実演手順

SOAP自動入力の始め方(AIカルテ入門)|診察中の会話からSOAPを下書きする実演手順

AIニュース | 株式会社ロボワークス

10分の診察が終わります。患者さんが席を立ち、扉が閉まる。次の患者さんを呼ぶ前に、医師はキーボードに向き直り、S/O/A/Pの4欄を打ち込みます。主訴、経過、所見、鑑別、処方、次回の指示——1件あたり3〜4分。1日40人の外来なら、それだけで2時間前後です。診療の合間に少しずつ持ち越され、昼休みが短くなり、最終受付が終わってからの入力作業になる。多くのクリニックで、これが日常になっています。

ここでご紹介するのは、この「打ち込む時間」を「読んで直す時間」に置き換える考え方です。診察前・診察中・診察後の3ステップに分けて、実際の手順をご説明します。

ステップ1:診察前 ― 問診の回答が、そのままS欄の素材になる

患者さんが来院前にスマートフォンで入力したWeb問診の回答には、主訴、発症時期、経過、既往歴、内服薬、アレルギーといった情報が揃っています。これらはいずれも、S(主観的情報)として記載する内容そのものです。

受付から診察までの待ち時間に、この回答を整理して診察画面側に表示しておけば、医師が診察室に入った時点で、S欄の素材はすでに手元にあります。

「ゼロから書く」から「8割書かれた状態から始める」へ

発想の転換はここにあります。白紙のS欄を前に問診をやり直すのではなく、すでに書かれた内容を確認し、診察で得た情報を足していく。この順番にするだけで、記載にかかる負担は目に見えて変わります。

ステップ2:診察中 ― 会話をその場で記録する

診察開始時に、PC内蔵マイクまたは集音マイクで録音を開始します。操作は1クリックです。MedicalClaudeの「診療SOAP自動カルテ入力」は、ブラウザ録音と音声ファイルの両方に対応しています。

録音を始めたら、医師はキーボードから手を離します。患者さんの目を見て、表情を見ながら話す。この数分間を取り戻せることが、実は最も大きな変化かもしれません。会話は自動で文字起こしされ、S/O/A/Pのどの欄に該当する内容かが仕分けされていきます。

患者さんへの一言と、院内での運用

  • 診察の冒頭で「記録のため会話を録音させていただきます。カルテ作成にのみ使用します」と一言お伝えする
  • 受付および診察室に、録音の目的と利用範囲を記載した掲示を出す
  • 録音を望まれない患者さんには、従来どおりの記載方法で対応する運用を残しておく
  • 同意の取得方法・記録の残し方は、各院の個人情報保護方針に沿って事前に定めておく

ステップ3:診察後 ― 下書きを医師が確認・修正・確定する

診察終了と同時に、S/O/A/Pの4欄に下書きが生成されます。ここから医師の作業は「書く」ではなく「読んで直す」に変わります。

確認は A → P → S → O の順が実務的

最初にA(評価)を読み、診断の方向性が自分の判断と一致しているかを確認します。次にP(計画)で処方と指示を確認。この2つが合っていれば、SとOは事実の並びを確認するだけで済みます。逆にSから読み始めると、細部に時間を取られがちです。

修正が必要になりやすい箇所

  • 鑑別診断の表現(断定的すぎる/自院の記載ルールと異なる)
  • 処方の用量・日数(会話では省略されやすい部分です)
  • 次回来院の指示(「様子を見て」が何日後を指すか)
  • 患者さん本人の言葉のニュアンス(訴えの強さ、不安の内容)

なお、処方については、前回Do履歴がある場合のみ提案し、自動入力は行わない設計としています。最終確定は必ず医師が行い、AIが担うのは下書きまでです。記載責任は医師にあります。確定した内容は、電子カルテの当日カルテへ入力・保存します。

実際の流れ:38歳女性・3日前からの咽頭痛と発熱

(1) Web問診の回答

主訴:のどの痛み、発熱/発症:3日前/経過:昨夜38.2℃、市販の解熱剤を服用/既往:特になし/内服:なし/アレルギー:なし

(2) 診察中の会話(抜粋)

医師「痛みは飲み込むときが強いですか」患者「はい、唾を飲むのもつらいです」/医師「咳や鼻水は」患者「咳が少し。鼻はそれほど」/医師「口を開けてください……喉は赤いですね、扁桃に白いものはありません。リンパも大きくはないです」

(3) 自動生成された下書き

  • S:3日前からの咽頭痛。嚥下時痛あり。昨夜38.2℃。軽度の咳嗽あり、鼻汁は軽微。市販解熱剤を使用。
  • O:咽頭発赤あり。扁桃白苔なし。頸部リンパ節腫脹著明でない。
  • A:急性上気道炎
  • P:対症療法。解熱鎮痛薬処方。水分摂取と安静を指示。

(4) 医師が加筆修正した確定版

  • O:体温37.8℃、SpO2 98%を追記
  • A:「急性上気道炎(ウイルス性を第一に考える)」と表現を調整
  • P:薬剤名・用量・日数を明記し、「3〜4日で解熱しない場合、または嚥下困難が増悪する場合は再診」と具体化

このように、下書きの構造はそのままに、自院の記載スタイルへ寄せていくのが実際の使い方です。

導入効果の目安

1患者あたり3〜4分かかっていた記載が、1分前後の確認作業に置き換わる——これが目安の考え方です。ただし、数値は当社試算であり、診療科・患者層・記載の詳しさ・院内の運用によって異なります。効果を保証するものではありません。

より重要なのは、記録が診療時間の中で完了することです。診療後にまとめて残っていた作業が減れば、その分の時間の使い方を選べるようになります。

よくあるご質問

録音した音声はどこに保存されますか

保存場所・保存期間・アクセスできる職種の範囲は、各院の情報管理ポリシーに合わせて設計します。MedicalClaudeでは実行履歴を3ヶ月保存し、誰がいつ実行したかを管理者が監査できる仕組みを備えています。具体的な構成はご相談時に個別にご説明します。

患者さんの同意はどう取ればよいですか

診察冒頭での口頭説明と院内掲示を組み合わせる運用が一般的です。同意の取得方法は、関連する法令・ガイドラインおよび各院の方針に従ってご判断ください。

専門用語や薬剤名は正しく認識されますか

一般的な医学用語・薬剤名に加え、院内で使われる略語や独自の言い回しは辞書登録によって精度を高めていきます。導入後3ヶ月の伴走支援の中で、実際の診察内容に合わせて調整を進めます。

既存の電子カルテを入れ替える必要はありますか

AIによる電子カルテデータ活用に対応しており、現在お使いのカルテを前提としたご相談を承っています。その他の電子カルテをご利用の場合も、まずはお問い合わせください。

ご利用にあたっての注意

  • 医療情報の取り扱いは、各院のポリシーおよび関連ガイドラインに従ってください。
  • 生成された下書きは必ず医師が内容を確認し、最終的な記載責任は医師が負います。
  • 本記事は運用手順の説明であり、診断・治療の効果を保証するものではありません。

まずは1診察分から試してみてください

全診察に一度に導入する必要はありません。まず1件、録音から下書き確認までを通してみると、自院の記載スタイルとの相性が具体的に見えてきます。

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